戯れ人共の奇談書
ASO(天使救出作戦)

天使。

純白の翼を持つ、白い少女。

その容姿たるは美しく、太陽のように輝く白銀の髪をなびかせ、蒼空と同じ色をした無垢な瞳で世を見つめる。

まさに天使の名に相応しい容姿だったそうだ。



約4年前に起きた聖戦〈エミリア〉を集結へと導いた張本人である。

天使は道化師の中でも畏敬の存在であり、奏演者の一人。

歌を口ずさみ、耳にした者の多くは泣きながらにして、戦線を離脱したそうだ。天使に礼を叫びながら――。


そして聖戦集結後、天使は行方をくらます。争いを好まない彼女の事だ、片田舎で静かに暮らしているのだろう、と人々は口にした。


しかし、4年後に現れた彼女を見、人々は絶句した。

紅黒い血染めの翼、虚ろの瞳にもはや生気はなく、救いの天使から、殺戮を繰り返す死神へと変貌を遂げていたという――。


< 13 / 62 >

この作品をシェア

pagetop