好きなんだよ?


「久しぶりだな。」


先に口を開いたのは
翔ちゃんだった。


「そうだね!!久しぶりすぎて全然わかんなかったよ。」


それから私たちは
これまでのことを
話した。


楽しくて楽しくて
気がつけば
店の外はもう
真っ暗になっていた。


「あ、送ってくよ??もう遅いし。」


翔ちゃんが時計を
見て席を立つ。


「え!!そんないいよ。悪いし、まだこの時間なら大丈夫!」


翔ちゃんはそのまま
歩き出して


「まなかが良くても俺が良くねーの」


振り返ってクシャッと
笑った。


――ドキン


んっ??何かドキンって
した?????


いやいや、まさかね(笑)
まさか…ね??


私は翔ちゃんの
笑顔に負けて
送ってもらう
ことにした。


翔ちゃんは
高校になって
突然地元が恋しくなって
お母さんに無理
言って1人暮らし
してるんだって。


色々な話を
していると
あっという間に
私の家に着いて
しまった。


「あ、私の家ここ。ありがとね!!」


えっここ?!
と翔ちゃんの
すっとんきょうな
声が響いた。


「そっそうだよ?!どーしたの??」


あまりの大きな声に
びっくりして
声が裏返ってしまった。

「いや、俺の家あそこなんだよ」


そう指差した
ところは私の家から
50mくらい離れている
右斜め前のマンション
だった。


「ちっ近いね」


全然知らなかった。
翔ちゃんがこんなに
近い所に住んで
いたなんて…。


私たちはアドレスと
携帯番号を交換して
それぞれの家へと
帰って行く。


「まなか!!」


翔ちゃんに突然
呼ばれて振り向いた。


「いつでも遊びにこいよっ!」


――ドキン。


はぁ、またあの
笑顔にドキドキ
しちゃった。


何でだろう…
あの頃は毎日
見ていた笑顔なのに。
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