君と過ごした日々







「夏祭り?」



明日がいよいよ終業式でテンションが上がってる皆を横目で見ながら帰りの支度をしていたとき、春香が話を持ちかけてきた。



「そう、夏祭り!!
一緒に行かない?」



「…何が悲しくてカップルの邪魔しなくちゃいけないの。」



春香が誘うということは、間違いなく夢斗が付いてくるだろう。


「は?誰も綾一人だけ誘ってないけど。
智士も一緒に行くに決まってんじゃん。」

「パス。」



即答という即答。



「何でよぉーっ?」



あのサボったときの出来事を、春香は知らない。

言うまでのことじゃないと思うし。
何より、智士のことを気にしてるって思われんのが嫌だった。



事情を話していなくても、異常なまでの雰囲気を春香は感じたんだと思う。

だから何も言ってこなかったんだ。


多分だけど、春香はうちと智士が喧嘩したと思ってる。

だから夏祭りを使って仲直りさせようとか思ってんだろうけど、




生憎話をする気すらない。





あの日から一言も言葉は交わしていない。


智士の隣にはいつも里桜がいるし、


うちの隣にはいつも拓海がいたから。


喋る気すら起きない。

関係のある四人が集まると面倒くさいことにもなるだろうから。







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