晒し神

小林 唯

「あ~!これ、なんて言う貧乏神?」
コーヒーをすすりながら、モニターを見る唯

「クスッ」とそれを見て笑う、市毛

「各県にもサイバー対策室あるでしょうに~、こっちに回さないでよね」

「まぁ、これが仕事ですから。がんばりましょう、唯さん」
書類に書かれた「晒し神」の文字を見ながら、市毛が言った

「警視庁 サイバー犯罪対策室」
ここ数ヶ月、騒がれている「晒し神」の特定を一括して、唯率いるチームが命じられていた。

問題が全国化し「晒し神」が関わったと思われる、自殺者や失踪者が、全国で40名を超えていた

「これ(晒し神の特定)はIPアドレスなどが残っていますし、意外と簡単というか、早いかもしれませんね、 唯さん」

「お~!イッちゃん、自信ありげだね~」コーヒーのおかわりをカップに注ぎながら、唯が笑った。

「ただ、この事件の不思議な所は、こちら(警察)が個人を特定するのは可能でしょうけど、ヤツ(晒し神)が一般人として、個人の住所、氏名、年齢、電話番号など、どうやって短時間で入手して、まして不特定多数を特定しているんでしょうね」

「まぁ~、捕まえてみればわかるっしょ」
今年三十路を向かえ、5歳の息子を持つシングルマザーの小林唯が、今年配属4年目の市毛に言った

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