水島くん、好きな人はいますか。


「あいつ、親父とふたりでこっち来たんだよ」

「そうなの? でもお兄さんから電話……」

「兄貴と母親は田舎に残ってるんだと。なんでかまでは知らねえし、興味もねえけど。京もあんま話したい内容ではなさそうだな」

「え、どうしよう……ずけずけと訊いちゃった……」

「おっ前なあ……知らなかったとはいえ、お前だって家族のこと根掘り葉掘り訊いてほしいとは思わねえだろ」

「どど、どうしよう……しゃ、謝罪のメールを……っ」

「いらねえいらねえ。気にするたまじゃねえよ、京は」


そうかな……。そうだとしてもわたし、軽率だった。


家族間での話なのか個人的な話なのかはわからないけど、それなりの理由があって転校してきたってことでしょう?


なんでも持ってるように見える水島くんにだって、悩みくらいあるよね。


向こうの友達の近況も、故意的に知らずにいるって感じだったし……。


「うう……離婚したとかだったら本当に申し訳ない……もう訊くのやめよう……」

「俺んちみたいに仲違いしたとかじゃねえの? 別居だの離婚だのって話は聞いたことねえけど……まあどうでもいいわ、親のことは」

「……、瞬。ご飯だけはちゃんと食べるんだよ」

「要らねえ心配してんじゃねえよ。食ってるっつーの」


それならいいんだけど、瞬って栄養偏った食事ばっかりとるからなあ……。
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