水島くん、好きな人はいますか。
◇
昨日降った雨のせいで冷え込みの強いテスト最終日になった。登校時の寒さには気落ちしたけれど、テストが終わってしまえば自然と気分は高まった。
「万代ー! りっちゃーんっ」
自販機の前でなにを買おうか決めかねていたところに、みくるちゃんとハカセがやって来る。
「テストお疲れーっ!」
みくるちゃんは解放感を感じさせる笑顔を見せた。
「お疲れさま。まだ帰ってなかったんだね」
「うちらは教室でしゃべってて、飲み物買いに来たんだよー。万代たちも?」
「クラスの子たちと自己採点してる途中なんだ」
「うわあ、ほんとに!? えらいなーE組」
毎回恒例なだけで、4人しか残ってないんだけどね。
ホットココアに決めたわたしはボタンを押し、取り出す。
「あ、ハカセ。この子がりっちゃんだよ。幼等部のころから万代と仲良しなんだって」
「そうなんだ。はじめまして、りっちゃん」
「こちらこそお初お目にかかります! メガネくんのことは常々拝見させていただいてまっす!」
ぶふっと吹き出したみくるちゃんに反して、ハカセは動じることなく首を横に傾ける。
「そのあだ名、懐かしい」
りっちゃんの観察対象ゆえの呼び名ってこと、知らないのかな。ていうかハカセになる前は、メガネってあだ名だったの? 露骨すぎる。