水島くん、好きな人はいますか。


「万代、聞いてる? なんでそんなにネガティブかなあ」


するりと耳に入ってきた言葉にショックを受ける。


ポジティブじゃないことはわかってるけど……いや、やめよう。反論のしようがない。


「えっと……ごめん、なにか言ってくれてた?」

「そんなに不安なら一緒に勉強する?って。この前も話したでしょ。週1で勉強会してるの。息抜きっていうか、みんなでやるほうが意外にはかどるし。万代もおいでよっ」


笑顔を見せるみくるちゃんに返事ができない。


勉強会って言うくらいだもん。他の人も一緒ってことだよね……?


「でもわたし、みくるちゃん以外の子とはしゃべったこともないし」

「大丈夫だよ。みんな万代のこと知ってるもん」


何気ないひと言にひやりと背筋が寒くなる。


「それに瞬もいるから大丈夫じゃない? 勉強してるから、そんなしゃべってないし――あ、今週は京も来るよ!」


もっと行けない要素増えた!


「だめ、ごめんっ。気持ちは嬉しいけど、行けないや」

「えー。なんで? おいでよっ」

「しゅ、瞬が怒ると思うから……」


みくるちゃんは怪訝そうに眉をひそめ、わたしは急にいたたまれない気分になり、俯きがちになる。

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