水島くん、好きな人はいますか。

「ねえ、瞬に彼女できると思う? その前に水島か。あっちでかわいい彼女作ってんだろうね」


守ってくれた瞬や水島くんはもう近くにいないからって、やられっぱなしになると思ったら大間違いなのだ。


「どうせ水島って一途な溺愛タイプだろ? 彼女べったべったに甘やかされそう。そんで四六時中一緒にいても飽きずにイチャイチャしてそう。そんな男どうなの」

「来る者拒まずな島崎くんのほうが、どうなの」

「去る者追えずな万代に言われてもね」


嘲笑しながら余裕で切り返してくる島崎くんが恨めしい。


「わたし、島崎くんだけは好きになれない……!」

「ああ。好きになってと迫ってみるのも一興かも」

「仮に言われてもかぶせ気味に断りますからやめてください」

「えー。断るとか万代の目って節穴ぁ」

「りっちゃん!? 嘘でしょう撤回して!」

「あ、ほら。みくるとメガネくんじゃない? おーい!」

「その前に撤回して!」


りっちゃんは下駄箱で見つけたみくるちゃんとハカセに歩み寄る。わたしも後を追ったけれど、スクールバッグの紐を島崎くんに掴まれてなかなか前進できなかった。


ふたりはわたしたちに気付くと、「おはよう」と笑顔を見せる。


「なんか騒がしいと思ったら……なんの話?」

「んー。万代の新しい恋の話?」

「そんな話はしてない! してませんからっ」

「そうなの? 僕でよければ聞くよ」

「いやだからっ……、もういいです……」

「あー。ほらもう。りっちゃんも博も程ほどにしないと。万代落ち込みやすいんだから」


フォローしてもらったのに胸が痛いのなんでだろう。
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