地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
「どうしたの?」
「大丈夫だ。ちょっと頭痛がしただけで……」
一瞬、顔をしかめたんだけど、次に見た時は、もう何ともなさそうだった。
「治ったの? 痛くない?」
「あぁ……」
「我慢してない? 平気?」
「大丈夫だ」
フッと優しく笑う陸に、一息つく。
「たまーにあんだよ、こんなこと。大方、睡眠不足とかだろ」
え、それダメじゃない。
睡眠は、しっかりとらなきゃ!!
「じゃあ、少しでも寝てよ! 体休めなきゃ!!」
のんびりとしたヤツの腕を引っ張り、べッドの方へ行かせようとした。
「大丈夫だって」
そう言って、平気な顔をして笑う陸。
「心配だよ……また、前のように過労で倒れたら……イヤだもん」
ジーッと、ヤツを見つめたまま、そう返した。
休めるうちに、休んでほしいんだけど……。
そう考えていたら。
――ギュ
陸の腕が、あたしの腰にまわされ、そのまま引き寄せられる。
え?
なに?
「あのさ……疲れてんのは確かだし、睡眠が足りないのも事実」
あたしを抱きしめたまま、続けた。
「でも、ただ寝るより、疲れを取る方法……あるんだけど」
そこまで言うと、あたしの顔を覗きこむ。
なになに? ベッドで寝るより、元気になるの?
どんな方法?
意味がわからなくて、首を横に傾げた。