地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

守護の呪をつくるために、いつも強力なお守りになっているネックレスを一時期外したから、呪詛を避けることができなかったと。


そう悔やんでいた。


「いいんだよ。結果的に、俺は助かってるし。もう気にすんな」


ポンポンと、杏の頭を優しく叩く。

彼女は、何も言わず……ただ抱き着いてきた。







だけど、次第に……杏の纏うオーラが……黒く見えるのは気のせいだろうか。

静かに……キレているような?


「杏?」


密着していた体を離し、顔を覗きこむ。



「あのさ~呪詛自体は、素人がかけたモノなんだよ」

「あぁ……」


突然、なんだ?


しかし、杏の口は止まらなさそうなので、黙って話を聞くことにした。



「……陸に呪詛かけるとか、あたしにケンカ売ってるよね、マジで」

「そ、そうか……?」

「うん。絶対に犯人見つけ出して……ぶっ殺してやる」


その一言を行った杏こそ、マジで怖い。


「杏……口悪くなってんぞ」


彼女の静かに燃え上がる炎を、おさめようとする。




しかし……。



「あ、そう? じゃあね~体中バラバラにして、火ですべてあぶってあげるね♪」


「軽やかな口調の割に、恐ろしいこと言ってる……」



逆効果だった。


さっきより、グロテスクな言葉がポンポンと杏から出てきたし。
< 499 / 622 >

この作品をシェア

pagetop