バケバケ
あれは…
間違いなくバケバコだ。
「燕、行くよ。」
「……了解…。」
千秋が帽子とメガネを取り、空中庭園の中へ入って行く。
「洋子、俺たちも…」
「うん。」
二人に続いて私たちも中に入った。
二人の子供が私たちを見つけて、じっとこちらを見つめた。
顔色一つ変えない子供が少し怖かった。
「また来たのですか。」
二人のうちの一人が言った。
腰までのツインテールに、淡い緑色のワンピースを着ている。
見た目からすると、たぶん10歳くらい。
「何度来ても無駄なのですよ。」
無表情のまま女の子は言った。
「君たちにこんな危険な箱を持たせたままにしておけないからね。今日こそ壊させてもらうよ!」
千秋が笑顔で歩み寄る。
「それで…お友だちを連れて来たのですか?」
もう一人の子供がバケバコから手を放し、女の子を庇うように一歩前に出た。