バケバケ
私が見つけたのは紛れもなく、テレビの防犯カメラの映像に写っていた金髪の男だった。
「まさか。金髪の男なんていくらでもいるだろ…人違いじゃ…」
「あの男だよ!黒い箱持ってるもん!!」
「はぁ?こんな位置から見えねぇよ…」
「もう!メガネ磨いたら?!あ、移動しちゃう!」
私は走り出した。
ちょうど青になった信号を走り抜けて、男を追いかけた。
男はまだ私に気づいていない。
たぶん自分の姿が見えてないと思ってるんだ。
よし!!
捕まえてやる!
「洋子!」
突然腕を捕まれ私は勢いを失った。
「なに?」
「さっきお前には見てて欲しいって言っただろ!
相手は人間を誘拐したバケバケだ。危ないだろ!」
「でも…!」
「その前にホントにあの男なのか?……たしかに黒い箱もってるな…」
「でしょ?」
「お前どんな視力してんだよ。」
男は右に曲がり、私たちもその後ろに続く。
「こんな早く見つかるなんてラッキーだな。」
間隔を空けて右に曲がり、人気のない細い道を歩く。