バケバケ





「弾くよ。」




香澄ちゃんはポツリと言った。


「えっ?」




「だって私、あんたの音好きだもん。」


「香澄…だったらなんで!」


「音楽を職業にしたいの。」


「?」


「ずっとあんたを弾いてたいの。そのためにどうしても行きたい大学があるから…勉強するためにバンドは辞めた。」


「……」


香澄ちゃんは呆然とする黄金に近づきその顔を見上げた。


「信じられないけど…この初めて会った気がしないのも、声に何となく安心するのも…」


香澄ちゃんは黄金の金色の髪に手を伸ばしてそっと触れた。


「この金色も…全部あんたがあのギターだって証拠なんだね。」


香澄ちゃんがにこっと笑った。


「香澄ィ〜」


黄金はボロボロと泣き出し、香澄ちゃんにしがみついた。


「うぅ…」


「よしよし、泣く前に言うことあるでしょ。」


「ごめんなさい。」


「違う、私にじゃなくて…」



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