バケバケ
小さな部屋だった。
何に使うか分からない怪しい道具が大量に床に散らばり、正面には大きなモニター、そしてその下に一つだけ椅子がある。
「ハイネ、連れてきたわ。」
回転椅子が動き、ハイネと呼ばれた人物が椅子に座ったままこっちを見た。
ボサボサの黒髪を額にかかるところだけ輪ゴムでくくっている。
顔色が悪く、切れ長の目にはくまが出来ていた。
くたくたのグレーのスウェットにひよこの描かれたうすいピンクのエプロンをしていた。
「はじめまして、シイ。俺は神崎灰音。」
灰音はエプロンの胸元を指差して言った。
「アンティークショップ神崎の店長だ。」