バケバケ



エプロンの胸元には黒い文字で『アンティークショップ神崎』と刺繍がしてあった。



「今まで君のことは監視させてもらったよ。」


灰音は椅子から立ち上がり、俺の顔をまじまじと見た。


「ふーん。普段は跡形もないんだな。契約の印。」


「!」


こいつそんなことまで知ってるのか!?


「驚いた?なんでも知ってるよ。君がなんのバケバケか、どんな能力を持っているか、どの人間の心から生まれたバケバケかも。」


「なんで…」


「なんでって…調べたんだよ。そんな間抜けな顔すんなよ。」


灰音はカラカラと笑いながら続ける。


「調査は俺の専門分野だしな。」


「お前…なんなんだ?本当に人間か?」


「そうだよ。俺はアンティークショップの店長さん兼バケバケの研究者。」


バケバケの研究者?


「君の知りたい情報はいっぱい持ってるよ。例えば〜あぁ、トキのこととか。」

「!…トキのこと、なにか知ってるのか!?」


「まぁね。」



< 85 / 469 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop