バケバケ
エプロンの胸元には黒い文字で『アンティークショップ神崎』と刺繍がしてあった。
「今まで君のことは監視させてもらったよ。」
灰音は椅子から立ち上がり、俺の顔をまじまじと見た。
「ふーん。普段は跡形もないんだな。契約の印。」
「!」
こいつそんなことまで知ってるのか!?
「驚いた?なんでも知ってるよ。君がなんのバケバケか、どんな能力を持っているか、どの人間の心から生まれたバケバケかも。」
「なんで…」
「なんでって…調べたんだよ。そんな間抜けな顔すんなよ。」
灰音はカラカラと笑いながら続ける。
「調査は俺の専門分野だしな。」
「お前…なんなんだ?本当に人間か?」
「そうだよ。俺はアンティークショップの店長さん兼バケバケの研究者。」
バケバケの研究者?
「君の知りたい情報はいっぱい持ってるよ。例えば〜あぁ、トキのこととか。」
「!…トキのこと、なにか知ってるのか!?」
「まぁね。」