リセット~彼女が死んで彼女が現れる~
「ええ…。そうね……。」
「……。」
俺はちぃが引っ込んで行った玄関をジッと見つめていた。
「…健。」
父さんに呼ばれて俺は振り返る。
「お前にも本当に済まないと思ってる…。
綾香ちゃんが亡くなったばかりで辛いはずなのに、傍にいてやることも出来ない…。」
父さんは俺に済まなそうに頭を下げる。
「しょうがないよ…。仕事なんだから…。」
「健…?」
(なんで…?なんで綾香も父さん達も俺を置いて行くんだ……?)
ボーとした俺を父さんはジッと見る。
「もう…行く時間なんでしょ…?
ちぃは俺が連れてくから…。」
< 138 / 159 >

この作品をシェア

pagetop