【BL】ひらゝ舞ふ
11
「林太郎君、こちらが君の父君の次兄……つまりは叔父の息子で長男の慶一君だよ、君の従兄弟だね。」

春三の真後ろに立つ慶一の気配の無さに林太郎は内心驚かされた。
使用人も多く取り囲む広間で顔に出せば第一印象から下手に見られることがある。
それを踏まえて林太郎は眉を微動させる程度で堪えた。

「君の方が僕より二つ年上なんだ。」

慶一の柔らかい口調は眠気を誘う。
顔立ちもふくよかで、いいとこ育ちのお坊ちゃまだと一目で解る。

慶一がのったりと片手を突き出して来るので、何か取り出すのだろうと待ってみるも、反応は無かった。
それが握手の動作だと林太郎が気がついたのは頭の中で十数え終えた頃であった。
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