芽衣の恋愛論
将吾
その時は突然やって来た。
なんとなくわかっていたけど早かったな。
約1ヶ月の短い付き合いだったな…。
片思いは長かったけど。
仕事中芽衣ちゃんから電話が入った。
嬉しくなって上機嫌で出た。
でも芽衣ちゃんのテンションは低くて、なんだかイヤな予感がした。
近くにきているとのことだったので会って話がしたいと言われて、ますます気が重くなった。
呼び出されたのが初めてだったのに…。
ため息1つ。
ビルのロビーに芽衣ちゃんは立っていた。
僕が近づくとぎこちなく笑った。
そして第一声が
「別れたい。」
だった。
押し殺したような声、やっと言葉に出来たような重みのある一言は僕の心臓にグサリと刺さった。
芽衣ちゃんは正直で恋の駆け引きなんて出来ないし。ストレート直球しか出てこない。
そこが好きなとこだけど、今は辛いかも…。
僕は目を瞑って深呼吸した。
「わかった。」
静かにそう返事して、歩き出した。
芽衣ちゃんはどう思っただろう。
でもエレベーターに乗り込み上を見上げて涙を零れないようにするしかなかった。
屋上まで行って泣いたんだ。
こんなに涙が出るなんて思わなくて乙女みたいで恥ずかしい。