芽衣の恋愛論
「本当に、会えた。」
素直に出てきた言葉。
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俺は仕事が終わって、小説の新刊が出たから買いに本屋に寄った。
6階建てのビルになっている大きな本屋で、目当ての小説は5階にあった。
4階から5階にエスカレーターで上がって行く途中、4階の漫画の本棚が並ぶ前にいる女の子の後ろ姿が芽衣によく似ていた。
俺はすぐ4階に戻った。
少女漫画コーナーを熱心に見ている横顔を確認した。
芽衣だった。
「本当に会えた。」
そこで出た言葉。
俺の言葉に芽衣はキョトンとしている。
「…あの、この間はごちそうさまでした。」
「ああ、いいえ。」
「零次君も本を買いに来たの?」
「うん、好きな小説が出てるはずなんだよ。芽衣は?漫画好きなの?」
俺が聞くと芽衣は照れくさそうにはにかんだ。
「ああ、うん。由美ちゃんに勧められた漫画を買いに来たの。」
お互いお目当ての本を買って、ご飯を食べに行くことにした。
そこでついに我慢できずにアドレスを聞いてしまった。
芽衣は快く教えてくれた。