芽衣の恋愛論
家に入ってあわてて家中の電気をつけた。
怖かった。
誰もいないのにいる気がしちゃう。
私は1人で居られなくて
由宇君ちピンポン押してみたけど誰も出ない。
真っ暗でいないみたい。
泣きそう…。
零次君に電話してみたら、留守電になった。
通りに出たらちょうど空車のタクシーが来たので手をあげて乗り込んだ。
零次君ちに行ってみようと行き先を告げた。
15分ほどしてマンションの前に着いた。
零次君がマンションの横の駐車場から出てくるのが見えた。
私が支払いをしてまた見ると、
零次君の横に女の子がいた。
腕を組んで歩いている。
そのまま2人はマンションに入って行った。
私はタクシーを降りてどうしようか考えたけど、こんな夜更けに会っている2人の時間を邪魔したらいけないなと思い家に帰ることにした。
また大通りに出てタクシーをつかまえた。
車中で電話かける相手を探す。
サトル君の番号を見つめた。
いつもならかけるんだけど。
でも間違えて通話を押していた。
気づいてすぐ切ったけど、折り返しの電話がきてしまった。
「あの、ごめんなさい。間違えちゃって。」
「どうした、なんかあったの?」
いつもより声が優しく感じる。
安心して泣きそうになって数秒黙ってしまう。