芽衣の恋愛論
「いないよ。いないけど、あたしまだこの状況よくわかんない。」
「いいよ。わかんなくたって、でもさ、俺の彼女で決まり。わかった?」
そう言ってやっとエンジンかけた。
「強引だね。」
「だってやっと会えたのにこのチャンス逃がしたら次いつになるかわかんねえし。」
「サトル君なら、いくらでも相手いるでしょ?」
「うん、何人か彼女みたいのはいたけど。やっぱりダメだった。芽衣のこと忘れられなかった。」
サトル君の話を聞いて『あら?』と思う。
もしかしてサトル君はあたしと同じ気持ちってことかな?
「芽衣が姿を消してからずっと後悔してたんだ。あの時芽衣を許してあげられなかったこと。
でも若かったから、器が小さくて。
あん時はそれでしょうがなかったって今は思えるんだけど。」
「あたしはずっとサトル君の応援してたよ。メジャーデビューおめでとう。」
サトル君は「ありがとう。」といった。
「すっかり遠い存在になっちゃってたから、なんか隣にいるのが不思議なの。」
あたしがそう言うとサトル君はこちらを見てニッコリ笑った。
あたしはその笑顔が眩しくてくらくらした。
「映画でも見に行くか。」
サトル君は車を走らせた。