芽衣の恋愛論
8ライブ
由美ちゃんちから家に帰ってきた夜。
サトル君からメールがきた。
「明後日のライブにワンピース着て来て。」
あたしは2万円を封筒にいれてカバンにしまった。
ライブでサトル君に会ったら渡そう。
―――
―――――
仕事終わってライブハウスの前で由宇君と待ち合わせしていた。
あたしは要望通りワンピースを着ていた。
お化粧も普通にしてきた。
ライブハウスの前はサトル君ファンの若い女の子がちらほらたむろしていた。
みんなサトル君のライブを心底楽しみにしているみたい。
「あなたも1人ですか?」
急に声をかけられた。
隣に女の子が立っていた。
可愛らしい、ベレー帽を被った女の子。
「みんな友達と来てて、1人で来たから寂しくて。いつもは友達がいるんだけど今日は都合悪くてこれないから。あたしも行くのやめようかと思ったけど、サトルに来てくれって言われたし。あ、あたし瞳っていうのよろしく。あなたは?」
よ、よく喋る子だなぁ!!
「あたしは芽衣です。サトル君のファンなの?」
「ファンっていうか、付き合ってるの…。あ、大きい声じゃ言えないけど。あたしもいまだに信じられないけど。この間もうちに来てくれて一晩中一緒にいたの。ほら写メ見る?」
あたしは唖然とした。
携帯には畳の上に寝ているサトル君が写っていた。
知らなかった!!サトル君に彼女がいたなんて。