三角形(仮)



「清人さん、リアさんがお見えになりました」


俺は、ボーイに呼ばれ立ち上がる。








「失礼します」


隣に腰を下ろす。


「今日一人?」


いつも一緒に来るアキホがいない。


「うん…ちょっと清人くんに聞きたい事あったし」


暗い表情のリア。
俺は何と無く理由を察したが、知らない素振りをする。


「聞きたいこと?」


酒を作り、取り敢えず乾杯だけはする。


「…うん……この前原宿で会ったでしょ?…あの時途中で来た…女の子って………」


やっぱりそう来たか。


「ココのこと?」

「そう、ココちゃん!…あの子園田ココちゃんでしょ?」

「…何でリアが知ってるの?」

「同じ大学なの。ココちゃん入学した時から可愛いって有名だったから。……ココちゃんはあたしの事なんて知らないと思うけど。」

「そうなんだ。案外、世間は狭いね」

「それでね、その……清人くんとココちゃんって…その…‥どういう関係なの?」


……。


「んー。」


今、一番答えられない質問だ。


現状は、彼氏彼女ではあるが、でもそう答えるのを躊躇う俺がいる。


それはホストの清人として、客にプライベートな事を言うから躊躇するのではなく、ただ一人の男、宮川勝として躊躇するのだ。




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