三角形(仮)



海老沢莉亜、21歳、大学4年、経済学部。












私は、顔が良い男が嫌いだ。






初めて付き合った彼が、世間で言うところの『イケメン』というやつで。
私は散々遊ばれて挙げ句、捨てられた。

私は彼の顔が好きだった訳ではない。
彼の漂わす危な気な雰囲気とか、たまに見せる優しさとかが好きだったんだ。


初めて付き合った男性だったから、私の初めては全て彼に捧げた。
私は本当に彼が大好きで、何よりも誰よりも彼を優先させた。
でも彼は、私の他に沢山女がいた。
それを知ってもなお、私は彼が好きだったが、最終的には彼にフられた。
そして私は彼の彼女でさえなかった事を別れた後に知った。
ただの遊びの女の一人だったんだ。



初めて付き合った彼に遊ばれた。
その傷痕は大きく残った。
私は、恋愛に憶病になったし、顔の良い男に魅力を感じなくなった。
正しく言えば、顔の良い男を信用できなくなったんだ。


そうして、いつしか私の中で偏見が生まれる。
顔の良い男は、何もしなくても女が寄って来るので、女で苦労する事はない。
だから内面を磨こうとしないし、女の子が何を思っているのかを考えない。
一途に誰かを好きになる事など皆無で、恋をする喜び、楽しさ、辛さを知らないんだ。






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