妖魔05~正道~
「組織の考え方や所属している者達は解った。経緯は?」

感情を露にしても、今の状況では何にもならない。

「保守派、改革派の内部に『ミールオルディン』の思想の者達がいた。それは、退魔師にも通ずるところ」

やり方に賛同できなければ、退魔師とてミールオルディンの敵か。

「とても迅速かつ確実、同時刻に一斉の動きを見せ、両派閥の上層部の妖魔達から抑えられ、やがて、里にも影響が出る事となった」

「派閥は、内部にスパイがいると知らなかったのか」

「人数も一人や二人じゃない」

秋野は、時を待っていたという事か。

「面倒くせえ事態になったな」

「そうね」

運転している冬狐に焦りはない。

冬狐にとって、自分の研究以外に興味はないのか。

「おい、保守派を抑えられたという事は、お前の妹はどうなった」

「さてね」

表面上は変わりはなかった。

だが、俺の鼻には隠し事は出来ない。

微量ではあるが、動揺の色は隠せない。

「そうか」

問い詰めてたところで、冬狐が吐く事はない。

常に何かしらの考えはあるだろうが、明らかにした事はほぼないに等しい。

「あんたは、これからどうするの?」

「決まっている。改革派として、ミールオルディンを潰す」

「人間の技術も妖魔の能力も、ミールオルディンには揃っているのよ?人海戦術を一人でどうか出来るとでも思っているの?」

「首領を抑える。それだけでも、大きな違いが出るはずだ」

「そう」

冬狐は無言になり、クルーザーを進めた。
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