妖魔05~正道~
「一体、どうなっている?」

クルーザーを運転しているのは、白を基準とした服を着ている冬狐だ。

「あんたが、廃墟で行動していたのは救いだったんじゃないかしらね」

前を見ながら、冷静に答える。

「そうか。で、保守派も改革派も潰れたのは本当の事なのか?」

「事実よ。すでに、ないといってもいい」

「里は!?」

「大声を立てずにお願いしたいわね。里はあるわよ。ただ」

「ただ?」

「大多数の妖魔達は捕縛され、殺害される妖魔も少なくはない」

「本当、なのか?」

「老妖魔は真っ先に殺されていたわ」

何故、こんな事になったのか。

「誰がやった?」

「『ミール・オルディン』」

聞いた事のない名前だ。

どこからか湧いてきた組織か。

「新しい組織か?」

「人間と妖魔が一つになるという事を目的としている。首謀者はそう言っていたわね」

「首謀者が姿を見せているのか?」

「ええ、あんたもよく知ってるわ」

「誰か、言え」

「秋野湊」

「奴か」

何か考えを持っていたとはいえ、今のような状況を作り出せるほどの行動が出来たのか。
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