妖魔05~正道~
「でも、信じたい」
「王子様」
そう、いつものように何ともないような姿で俺の前に立って欲しい。
俺は、吟がいたから、生きてこれた。
吟がいなくなるなど、考えられない。
だけど、不安が拭えない。
焦燥に駆られたまま、俺は地元の駅へと降り立った。
地元は、何が変わったわけではない。
そう、何も変わらない。
俺とロベリアは足を学校の近くにある廃ビルへと向けた。
しかし、廃ビルは、壊されている。
「そうか」
皆をミールオルディンから守るために、転移陣を壊したんだ。
だとすれば、二度と龍姫の元へ辿り着く事は出来ないのではないか。
転移は高等魔術。
安易に使えるような妖魔はいない。
「どうすりゃいい」
誰かが、後ろから俺のコートの裾を引っ張る。
背後を向くと、龍姫が立っていた。
「龍姫」
「よう、帰ってきたのじゃ」
しかし、表情は明るくはない。
表情から読み取れるのは一つ。
「龍姫、吟は?」
「まだ生きてはおる。しかし、長くはない」
「そうか」
予想していた通りの出来事は、回避出来ないようだ。
「王子様」
そう、いつものように何ともないような姿で俺の前に立って欲しい。
俺は、吟がいたから、生きてこれた。
吟がいなくなるなど、考えられない。
だけど、不安が拭えない。
焦燥に駆られたまま、俺は地元の駅へと降り立った。
地元は、何が変わったわけではない。
そう、何も変わらない。
俺とロベリアは足を学校の近くにある廃ビルへと向けた。
しかし、廃ビルは、壊されている。
「そうか」
皆をミールオルディンから守るために、転移陣を壊したんだ。
だとすれば、二度と龍姫の元へ辿り着く事は出来ないのではないか。
転移は高等魔術。
安易に使えるような妖魔はいない。
「どうすりゃいい」
誰かが、後ろから俺のコートの裾を引っ張る。
背後を向くと、龍姫が立っていた。
「龍姫」
「よう、帰ってきたのじゃ」
しかし、表情は明るくはない。
表情から読み取れるのは一つ。
「龍姫、吟は?」
「まだ生きてはおる。しかし、長くはない」
「そうか」
予想していた通りの出来事は、回避出来ないようだ。