妖魔05~正道~
「あなたの心の中には、吟さんがいる」

美咲は、解っている。

「でも、あなたの支えになりたい」

「美咲」

美咲は前を向いたままだ。

「でも、今はそれでいい」

俺達に心を癒す、風が吹く。

「話は変わるけど、丞はこれからどうするの?」

「まだ、解決はしてないけど、将来を考えて就活さ」

「丞も高校生じゃないもんね」

「そうなんだよ」

年齢的には若いが、斡旋してくれるような組織には入っていない。

自分の足で周るしかないのだ。

アピールできる事といえば、英語を少し話せるのと、戦闘スキルが上がったくらいだろう。

「そうだ」

「どうした?」

「退魔師に就職するってのはどう?」

「退魔師だって?」

「丞にはぴったりな場所だと思うよ」

「退魔師か」

過去に一度誘われたのを断ったから、もう一度いくなどというのは難しいんじゃないだろうか。

あの時は、組織の下で動くなんて事を考えてなかったもんな。

「私も頼んであげるよ」

「あそこって、企業か何かなのか?」

俺は退魔師について何もしらない。

「うん、そんなところ。きっと、これからの世界には必要不可欠だと思う」
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