妖魔05~正道~
「俺は、お前を救う手段を知らない」

攻撃を見定め、手首に手刀を決める。

瑠璃子はナイフを落とすが、格闘術で何とかしようとする。

「急ぐな」

「黙れ!妖魔!アタイは、許さない!お前等を!」

瑠璃子の気持ちは解らないでもないが、あらゆる犠牲の上の平穏を崩すような一言を言うんじゃない。

俺は瑠璃子の手首を掴んだ。

「いい加減にしないか」

「うるさい!アタイは、アタイはああああ!」

俺は、瑠璃子に何も言えない。

だが、止めるしかないのだ。

「悪いな」

鳩尾に拳を叩き込む。

「ごえ」

気絶はしないものの、痛いダメージが入る。

気絶させるのは、よほどの手馴れでなくては出来ない。

「焦るな。時間も、必要なんだ」

俺はナイフと瑠璃子を拾い上げる。

「すいません」

皆に謝ると、丁度ロベリアが出てくる。

「ロベリア、すまない。少し、用事が出来た」

「王子様、傷が」

心配そうな顔をしている。

「ありがとう。でも、大丈夫だ。ロベリア、気をつけて帰るんだぞ」

「はい」

俺は瑠璃子を退魔師本部へと連れて行く事にした。
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