妖魔05~正道~
俺はナイフを回避しつつも、店の外に誘導する。

「ち!」

ナイフ捌きが速い。

回避しても、俺のところどころをかすっていく。

精神的ダメージは、ゼロのようだ。

逆に、妖魔に対しての怒りが突き動かしているのか。

「っていうか、何で俺に突っかかってくるんだよ!」

「お前ならいい!」

「理由になってねえ!」

疲れは多少あるが、言い訳にしかならない。

ロベリアはレジで会計中だ。

人間のままでやるしかない。

「銃刀法違反というものがあってだな」

「アタイは許可されている!」

「何のための銃刀法違反だ!そんな危ない事をさせないための法律だろうが!」

周りの人達は何食わぬ顔で通り過ぎていく。

自分に被害が及ばぬようにだろう。

妖魔でさえ、平和にいたいために手を出そうとしない。

俺だってそうする。

「瑠璃子」

「うるさい!うるさい!うるさい!アタイを、名前で呼ぶなああああ!」

俺は冷静に、瑠璃子を見た。

本当は、傷ついている。

悩まされているんだ。

例え、ナイフの使い方を知っていても、肉体的に強くても、人間の女の子だ。

美咲のように、訓練は受けてない。

「落ち着け」

ナイフに乱れが生じている。

本来ならば、もっとキレがあるのだろう。
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