妖魔05~正道~
「が、はあ」

地面を激突し、転がりながら立ち上がる。

「はあ、はあ」

筋肉が悲鳴を上げている

「やべえ」

そして、爆風のダメージがでかい。

『王子様、魔の気配がする』

「く、そ」

顔を上げると、向こう側から何人かが歩いてくる。

「イヴァン」

黒い服に包まれている。

「久しぶりだね、弱き妖魔」

「今になって出てくるとはな」

「中々死なない君に交渉をしに来た」

薄気味悪い笑顔を浮かべる。

「今ならすぐにでも倒せる。だが、君はそれでも抵抗するし、それだけではつまらない」

「何が、いいたい?」

「二つの命を預かっているといったら、どうかな?」

掌の上に球のような者を浮かべる。

そこには映像が映っており、俺の家の中で黒い影に囲まれている黒い鎧をまとった千鶴がいる。

「答えはイエスしかない。僕が何を欲しがっているか、君は理解しているはずだ」

「俺がイエスといって、妹を助ける保証は、あるのか?」

「こちらが有利だし、助ける義理はない。でも、それは僕の美徳に反する」

「美咲に病をふっかけといて、よく言うぜ」

「余計なお喋りは終わりだ。さて、どうする?」

「分かった」

鎧を脱ぎ去り、持っている全てを渡した。

こうなった、責任は俺にある。

「よろしい」
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