妖魔05~正道~
久々の攻防。

感情を露にしながらも、殺しにかかってくる。

やっぱり、吟は吟だった。

根本的なところでは変わらない。

俺は拳を受け止める。

「お前は幸せか?」

「何を言っているんだ?」

「すまねえ」

受け止めた拳を離した。

「お前は、何で自分がここにいるのか疑問にもたないのか?」

「どうでもいい。こうやって、闘う時が続けばさ」

「闘うって、そんなに楽しいか?」

「楽しいさ」

「はっきり言うな」

「それ以外、他にする事ない」

ここが闘うための場所だから、影響されているのかもしれない。

それとも、記憶がないからまだ知らない事が多いのか。

死ねば記憶もなくなる。

そして、次の生へと進みだす。

俺が特別なだけなのか。

当然、イレギュラーだろう。

「闘うだけじゃなくて、こうやって触れ合う事でお互いを認識する方法もあるんだ」

軽く抱きしめる。

久々の吟の体の感触。

柔らかく、何も変わらない。
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