妖魔05~正道~
「あの方の能力によって、『モード:審判』と暗示のみを闇に吸い込んで、消滅したの」

「そうか」

果たして、良い事なのか。

全てを思い出すという事は、裏切られた記憶も復活したという事。

ずっと隠し続ける事は良いとはいえない。

だが、いきなりすぎるような気がする。

「すまなかった」

しかし、俺は頭を下げた。

「何故、王子様が頭を下げるの?」

「記憶を戻さなかったのは自分の甘えでしかなかった。隠し続けていれば、サルビアが付いてくると心のどこかで思っていたのかもしれない」

「王子様」

「すまない」

もう、遅いのかもしれない。

「一つ、言わせて」

「何だ?」

「王子様は、サルビアと呼んじゃ駄目」

「は?」

「お姫様がつけてくれた名前を捨てたくない。私はロベリアとして共に羽を羽ばたかせたいの。いい?」

上目遣いで、俺を見つめてくる。

わざとやっているわけではないが、可愛いらしさを際立たせていた。

「王子様が大変な思いをしてきたのは理解してる。それに、王子様が私を道具扱いしてるわけないもの」

「ありがとうな」

ロベリア自身がいいと言っているのだから、無駄にごちゃごちゃ言う必要もない。

後は、ジャスミンの処遇についてだ。
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