妖魔05~正道~
しかし、葵さんの言うとおりにしてる摩耶さんの素直さは飼い犬のようで、殿方から見れば愛らしくもあるでしょう。

「ウチはパパにも冷めん内に早く食べてもらいたいねん」

「そこに抜かりはありません!恩師摩耶さん、今からどちらが美味しそうに食べてるか決めて貰いたいんですよ」

「葵、あんたはウチの事何も理解してないやろ」

「何でしょう?」

ハリセンを持ち出して、葵さんの頭を穴から出たモグラの頭のように叩きます。

「そんなんパパに決まってるやろ!見んでもわかっとんねん!」

摩耶さんはツッコミという暴力を上手く扱ってますね。

摩耶さんは、箸を持って肉を口に運ぼうとします。

しかし、横から葵さんが横取りするかのように食べてしまいました。

「あ、ああ、ああああああ!ウチの肉!ウチの肉に何すんねん!」

「恩師摩耶さんに感心してもらうために頬の筋肉の訓練をしてきたんです。どうですか、この表情は?」

摩耶さんに向けて笑顔を見せていますが、摩耶さんは肩を震わしてますね。

よほど、面白い顔をしているのでしょう。

「このアホ!」

本物の暴力で葵さんの頬を殴りつけましたね。

「何でウチの肉食べるねん!あんたは発情期の犬か!」

「恩師摩耶さんなら、発情してもいいかと」

「アホ!ウチの操はパパだけのもんや!」

顔を赤らめてアドレナリンを奮発させてますね。

「もう、ええ。あんたには無しや!」

「恩師摩耶さん、私は、私は、今日のお肉が食べられると聞いて、二時間前から何も食べてなかったのに」

「二時間やったら何の問題もないやろ!」

しかし、料理に立つ湯気が元気をなくしてきていますね。
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