妖魔05~正道~
笹原久遠さんの背後にはもう一体、妖魔がいます。

「お母さん!く!出せない!」

笹原美咲さんの防壁を作るのは魔力を結構使うようですね。

魔力切れを起こしてしまっていますよ。

他の人は大妖魔の方々の相手をしていますので、私はナイフを生成して背後に投げつけます。

しかし、軽く回避して私の前に降り立ちました。

宇宙人のように灰色をしており、全身タイツを着用しているようです。

目立ちたがり屋な妖魔の方なのかもしれませんね。

「ほう、面白いですねえ」

ナイフを構えますと私と勝負する気はないのでしょうか、上空へと飛びます。

そして、私の背後に降り立ち、後ろにいた摩耶さんと葵さんの傍に寄ります。

「おや、摩耶さんは見物ですか?」

「あ、パパ!」

「一般人は非難したはずじゃ!」

今のは笹原美咲さんの声ですね。

「恩師摩耶さん、これは非常事態です!」

葵さんがサバイバルナイフを取り出し構えるものの、すでに摩耶さんの傍に立っています。

「何やあんた!?」

何かをする暇もなく、摩耶さんと妖魔の方は同化してしまいます。

「これが人間の体か」

自分の体を確かめていますね。

「同化が能力ですか。非常に興味深いですね」

「今すぐ戦闘を止めろ、さもないと娘は死ぬぞ」

「これから摩耶さんのご飯が食べられなくなるのは困りますね」

「だったら、止めさせろ」

「あなた、妖魔の方に破壊を促すとは、改革派の方ですか」

「どうでもいい」

「そうですか」

私はナイフを摩耶さんの足に向って投げつけます。

私の行動が意外だったのでしょうか、回避する事を忘れてしまいナイフが足に刺さりましたね。
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