妖魔05~正道~
「この娘の事を、なんとも思わないのか」

借金取りに追われた時のように焦っていますね。

「摩耶さんはとてもいい方ですよ。結婚相手が明日にでも見つかるくらいにですね」

「ならば、何故、傷をつける?」

「何故?おかしな事を聞きますね。あなたは敵だからですよ」

「体は、娘なのだぞ」

「ええ、そうですね。しかし、中身は敵ですよ。そこに違いはありません」

手を引っ張ると糸が連動して、ナイフが引き抜かれます。

「ぐあああ!」

足を抑えながら、座り込みます。

「おやおや、まだ一撃目ですよ。さて、次はどこに穴を開けましょうか?」

「外道!貴様ああああああああ!」

私が近づいていくと、隣の葵さんがこちらに突撃してきます。

「おや、どうかしましたか?」

「恩師摩耶さんを傷つけるとはどういう了見かあああああああああ!」

サバイバルナイフを素人の物ではない感じで振るってきます。

「おやおや、妖魔の方よりも私を死地に送ってくれそうじゃないですか」

葵さんを過去にどこかで見たことがあると思えば、軍に入っていたような気がします。

「許さん、許さんですぞおおおおおお!」

正気を失っているようですが、私としてはありがたい限りですよ。

この戦いに私の出来る事はないと思っていましたからね。

右、左、下などの斬り込みがとても速く、少しずつ私の体を削ります。
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