妖魔05~正道~
「私が、引導を与えましょう!」

「いいですねえ、あなたのやる気。私の身も心も、思い出させてくれますよ」

上からの払いを避け、葵さんの腕を斬ります。

血しぶきが飛び散りましたね。

「どちらが死地に一等賞に辿り着くか、競争でもしますか」

血のおかげで、口元が釣りあがってしまうじゃないですか。

「いいでしょう!この刃によって、あなたを殺します!」

「最近、殺意を持って私と勝負してくれる人がいませんからねえ」

葵さんの左からの薙ぎをバックステップで回避し、振るった腕に爪先蹴りを行います。

その際には、ナイフを生成しています。

しかし、回転してからの、上段回し蹴りを与えてきます。

それを食らいながらも、足にナイフを突き立てます。

「ぐ!」

軽く引き抜き、更に血しぶきが飛びました。

葵さんは後ろに下がろうにも足に怪我を負い、上手く下がれません。

「残念ですねえ。全盛期のあなたならば、私を確実に死地に送っていたかもしれませんね」

「何を言ってるんですか。まだやれますよ」

片足を引きづるように立ち上がります。

「二人とも!止めや!」

私と葵さんの間に、苦痛の表情を浮かべた摩耶さんが入ってきます。

「恩師摩耶さん、正気に戻られたのですか」

「葵、何しとんねん」

「外道が、恩師摩耶さんを傷つけたので引導を与えてやろうと思いまして」

「傷なんて大した事ないんじゃ!ボケ!」
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