妖魔05~正道~
「動きを把握出来てなかったこちらにも原因があります」

笹原道元さんも頭を下げました。

「これでは、改革派の動きを活発にさせる口実が出来てしまいますわ」

「彼等の動きを食い止めるよう尽力します」

「私達も町にいる改革派を出来る限り早く見つけますの」

会話からすれば、秋野さん以外の改革派はすでに街にいるようですね。

グレイのような全身タイツを着用した彼もまた改革派なのかもしれませんね。

ここで解説させていただきますと、摩耶さんの体にナイフを刺したのは魔力発散ナイフによって、彼だけの魔力を抜き取ったというだけの話です。

ですから、彼は死んでも摩耶さんには刺し傷以外に影響はないという事ですね。

今、彼がどこにいったのかは知りませんがね。

「雲丸君、ちょっとこっちに来るですの」

「OH!二人のLOVEDAYS!」

「そんな愉快な事で済めばいいんやけどのう」

背後に沸き立つオーラは鬼を思わせて頼もしいですね。

「赤城さん、あなたにも後日、退魔師本部に足を運んでもらいますわ」

乾雲丸さんの耳を引っ張りながら、私に告げて歩いていきます。

「おや、久々に退魔師の皆さんに出会えるのは心が弾みますね」

私は摩耶さんの元に歩いていきます。

息はしていますが、気を失っているようです。

胸元には斜めに入った傷痕が残っていますね。

「アスファルトのベッドは堅いでしょうから、お家の布団で寝ましょう」

私は摩耶さんを負ぶって歩き出します。

「外道、私はもう一度自分を鍛えなおす」

背後から葵さんの勇ましい声が聞こえてきます。

「山篭りもいいとは思いますが、海での特訓もお勧めしますよ」

「恩師摩耶さんには世話になったと伝えておいてください」

葵さんの前向きな姿勢には脱帽する他ないですね。
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