妖魔05~正道~
氷柱は下がっていき、地面に降り立ちます。

乾雲丸さんが傍に立っているという事は、彼の技でしょう。

「前々から気になっていたんですが、あなたは妖魔ではないんですよね?」

「超・能・力!」

「それは素晴らしい。門下生になりたいところですね」

狸さんのほうは、上手くやってくれたようです。

気絶させてから、人間の姿に戻したようです。

「おいおい、どうすんだ。これじゃあ、女と乳繰り合う時間がなくなる」

「そうだそうだ。銃弾だって安くないんだぞ」

しかし、彼等の行動が無ければ、更に時間がかかっていた事でしょう。

「赤城さん」

道の向こう側から走ってきたのは、乾萌黄さんと妖魔の方でしょうか。

変鎖を受けて、人間の男性の姿になっています。

「これは、大きな問題になりますの」

「それは面白い話ですね。これから先、死地に行ける回数が増えるという事ですか」

「あなただけならまだしも、他の人たちに被害が及びますの」

大分、焦っている様子ではありますね。

「あ!道元くーん!」

ビルの上から飛び降りてくると、道元という男性に抱きつきました。

道元さんといえば、笹原久遠さんの夫ではありませんでしたか。

「あ、ごめん!ちょっと美咲の様子見てくる!」

駆け足になりながら、笹原美咲さんの下へと駆けていきます。

家族の仲の良さが素晴らしいですね。

「申し訳ありませんの。これは、完全なる私達のミスですの」

乾萌黄さんが笹原道元さんに頭を下げましたよ。
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