妖魔05~正道~
黒猫さんはブロンド髪の女性の腕の中から飛び降ります。

「にゃ、琴に撫で撫でしてにゃ」

子供が好きなのでしょうか、八重さんに擦り寄っていますね。

「猫さん」

八重さんは座り込んで、黒猫さんをなでます。

「パパ、ウチ、マリアを追う!」

「おやおや、やる気があるのはいいのですが、摩耶さんがいけば死地に辿り着いてしまいますよ」

「一体、何があったんですか?」

「あんたには関係あれへん!」

今にも、教会から出て行きそうですね。

「でも、大変そうなんですけど」

「今は王子様を待つのがいいかと思う」

ブロンド髪の女性が八重さんの傍で一緒に黒猫さんと戯れながら仰りました。

「そうですねえ。廃墟から出るには時間がかかると思いますし、急ぐ必要はないかと思いますよ」

「でも、あいつにいらん事されてたら」

「アイツはシャイな奴だ。そして、私にしか手を出さない!何故ならば!私のフィアンセだからな!」

「あんたの妄想やろうが!」

アッパーカットでふっ飛ばしましたが、再び立ち上がります。

女性のタフさには秘められた汗と涙が混じっているのでしょう。

「まあ、頭を冷やすついでに鶏肉を調達してこい」

「ああ!もう!どないすればええねん!」

頭を抱えながら、そこらへんを駆け回っている摩耶さんの運動量は計り知れませんね。
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