★ブルーの彼方★
母の恋★





 家に帰ると、やっぱり真っ暗だった。



明かりが灯ってる家に帰ったのなんか、もう随分前のことだ。



母に恋人が出来てからというもの、帰りが遅くなる日ばっかりだった。



きっと了の家は、温かくて優しい家族なんだろうな。



そうじゃなきゃ、あんな風に育つはずがない。



あっ、でも出来のいい、弟がいるんだっけ。



だけど私には、比べられる相手すらいない。



こんな静かな場所に、一人でいるとマイナス思考になりがちになるし。




 了といたら…



了と付き合ったら…



もしも、もしもそうしたら、この暗い場所も少しは明るく感じれるのかな?



 ただ、涙だけが静かに、すーっと頬を伝う。
< 155 / 243 >

この作品をシェア

pagetop