神風

でも1番の理由は“あたしもあそこに立つはずだったのに”って悔しさだけを持って帰ってくることだった。


彼は一瞬悲しそうな顔をした。


「由那があそこに立つところ見たかったな。」


独り言のようにぽつりと言った。


「彰は立たないの?」


ちょっとした沈黙が流れる。


彼はふっと笑って


「俺には無理。」


と言った。


その瞳は少し悲しそうだった。
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