神風

流すくらいにしか走れない。


怖い。


タイムが落ちてるのを見るのが怖い。


「真面目にやんなよ。」


飛鳥が言う。


もうこれ以上心配はかけられない。


今までさんざん迷惑かけてきたんだから。


「タイムが落ちるのはしょうがないよ。ブランクもあるんだし、変な走り方するとまたくじくよ。プラスに考えようよ。フォームかえるチャンスでしょ。さっさと練習しなよ。今はそれしかないでしょう。」


彼女はいつだって背中を押してくれるね。


でも、今あたしが1番怖いのは前みたいな風を感じられないことなんだ。


タイムも大切だけど。


「新条っ!ちょっと。」


彼女は彰を呼んだ。
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