神風
彼はあたしの異変に気付いたのか頭を撫でる。
「なんで?」
聞こえているのに聞こえないふりをする彼。
「ねぇ、悔しくないの?」
「悔しいね。」
「泣かないの?」
彼は黙ってしまった。
和志は涙を隠すことはなかった。
コンクールのときは必ず泣いていた。
「泣きたいときは泣けばいいじゃん。ね?」
和志みたいになれって言ってるわけじゃない。
でもためておくといつか壊れてしまいそうだから。
ダムには限りがあるんだ。
いつのまにか涙は止まっていた。
かわりに彼の頬がぬれた。