神風

ジンジン足が痛む中、ひょこっと顔を出したライ。


「遅いと思って来てみれば何やってんの?」


あたしに視線を合わせるようにしゃがむ。


「ちょっとこけた。」


嘘だけど。


でも彼には、陸上部のメンバーには言えない。


和哉先輩や彰のことでもめたなんて。


「ほい。」


スクっと立って手を差し出す彼。


掴まれってことだよね?


「もしかして歩けない?」


「まさか。もうすぐ大会なんだよ?」
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