私の最悪の幼馴染。
プロローグ
それは、幼い頃の記憶。


もう、私だって、おぼろげな記憶としてしか残っていない。


だけど、それでも私は、思いだそうとしてしまうんだ。


土砂降りの雨が降っていて、空気は段々冷たくなって、吐く息は白かった。


家から少し遠くにあった公園の、ゾウの滑り台の中で泣いてばかりいる私を、


アイツは探してくれた。


「・・・バカ」


そうやって呟いて、アイツは私の隣に座ってきた。


きっと走ってきたのだろう。


隣で座るアイツは肩で息をしていた。


膝はどこかで擦り剥いて出来たばかりの傷があって、


傘をさしていたくせに、頭もびしょ濡れになっていて。


「・・・泣くなよ。バーカ」


膝に顔をうずめる私に、アイツはそう言うと、


強引に私の手を握ってきた。


「俺がいるのに、なんで泣くんだよ」


今思えば。


幼いくせに、ませていて、生意気だなって思う。


だけど、


あの時だけは、


アイツが凄く、頼りがいのある奴に見えた。



―――だから。







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