私の最悪の幼馴染。
麻子はニヤニヤしながら私たちの会話を見ている。


「何ニヤニヤしてるのよ」


「別に~」


何だかこれ以上喋っても不毛な気がして、もう一度前を向きなおそうとした時。


「彩子ちゃん!」


誰かが私の名前を呼んだ。


驚いて振り向くと、同時に周囲の女の子もそっちの方を向いている。


「・・・古田君」


うぅ、これじゃあ、また違うクラスの女子の殺気が・・・。


うちのクラスでは、幸か不幸か、隼人がいるから、古田君ファンが少ない。


でも、別のクラスじゃ・・・そういうわけにはいかない。


特に、古田君のクラスの女子の中には、熱烈なファンもいるらしい。


「彩子ちゃん、総菜パン買えなかったの?」


「うん。ちょっと遅くなっちゃってね。まぁ、菓子パン好きだし、それで良いかな」


私がそういうと、古田君の顔が、ぱぁ、と一瞬明るくなった。


「やっぱね、よく彩子ちゃんお昼ご飯買い損ねているでしょう?だから、はい」


そう言って、古田君が、背中に隠していた両手を私の前に差し出す。


「彩子ちゃんが好きな焼きそばパン、買っておいたよ」


「・・・ウソ」


私より先に、麻子が驚いた様子を見せていた。


そんなこともお構いなしに、古田君はニコニコ笑って、それを私の手に握らせる。


「部活で『焼きそばパン』好きだって言ってたでしょ?だから」


「うわー、悪いよ、そんなの」


思わずその焼きそばパンを、彼の胸に押し返すが。


「ううん、いいんだよ。


彩子ちゃんのために買ったんだから、彩子ちゃんに食べてもらわないと」


そんな上目づかいで、こっちを見ないでよ。


断りにくいじゃない。
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