秘密のkiss
〈PPP!!〉
朝から、けたたましい目覚まし時計が鳴り、目を開けると、頬に微かな冷たさを感じた。
「涙…」
夢で泣いたのはいつ振りだろう。
とても寂しい夢だった気がする…
ぼうっとしている中、バーン!と乱暴にドアが開けられた。
「姉ちゃん!!いい加減にしてよ」
小学生の弟の珪が、うんざり顔で入ってきた。
「あれ?もう起きてる。珍しいこともあるんだ」
珪はそう言い、私の目覚まし時計を止めた。
「珪、勝手に入らないでよ」
ようやく完全に目を覚ました私は言う。
「嫌なら、毎日きちんと起きてよ。ほら、今日も柊兄が迎えにくるんだろ」
そう言うと、珪はさっさと階段を下りていった。