秘密のkiss
「で、どっか行きたいとこあるか?」
平井くんはぐいぐいと前進しながら、私に聞いてきた。
「えっ…?」
私は、「画材店」と答えると、彼は笑顔で了承してくれた。
近くの行きつけの画材店に入ると、平井くんは不思議そうに周りを見渡す。
「へぇ、俺、こんな店入るの初めてだわ」
と平井くんは言う。たしかに、このお店と平井くんは合っていない。
「なんか、お前と居ると飽きないな」
と、平井くんは色々な道具を手にとっては、何だこれ?と呟いている。
一方、私は新色の絵の具に見入っていた。
「いい色」
と、手に取り私が頬笑み呟いていると、隣で平井くんは、変わった奴と言っていた。
画材店を出ると、平井くんの要望で、洒落たカフェに入ることになった。
「た、高い…」
カフェのメニュー表を見て私はつい言葉をこぼす。
「あー、まじ俺奢るから気にすんなよ?」
と平井くんは言う。
「だ、駄目。そんなの」
「平気だって。これでも、手伝いできっちり小遣いもらってるし。素直に奢られろ」
「でも、」
まだ言うか?と、平井くんが拒否は受け付けないという様子だったので、私は、素直に奢ってもらうことにした。
「ありがとう」
「ああ。それよりさ、」