秘密のkiss

柊が、一向にくる気配がないため、私は平井くんに促されるままお弁当を食べ始めた。



まぁ、いない方が色々と説明しなくて良いけれど。


私は、お母さんの作ったお弁当を食べ、平井君はコンビニ弁当を食べていた。


ふと見ると、平井くんの髪が、食べているコンビニ弁当に何度か入り、その度に彼は髪を避けている。


「髪、うっとうしくないの?」

ふいに言葉が出た。
少し驚いたように平井くんは私を見る。



「すげー邪魔」

ジュースを飲みながら、本当に煩わしそうな顔をして彼は言う。


「なんで、伸ばしてるの?」


「別に大した理由はねーよ…。ただ、」

「?」

「昔、好きだった女に、髪、褒められたことがあって。その時からの癖で、何か伸ばしてる…」

言われてみれば、彼の髪はさらさらと輝いている。


「そう…」


「あれ?笑わないんだ」

ニヤニヤしながら彼は私を見る。


「え?」


「俺のダチなんてこの話したら皆爆笑だぜ」

そう、笑顔で平井くんは言う。


「私も、同じような理由だから…」

私は、微笑みながらそう言った。





『さらの髪って、綺麗な色だな』







< 9 / 30 >

この作品をシェア

pagetop